敷金は全額返還が基本!引越しでダマされないための基礎知識

「家賃」を構成する6つの要素とは?

引越しの際に最も多いトラブルが、敷金の返還(返却)に関するトラブルです。
その最大の原因は、大家さんや不動産業者、そして、賃借人(借主=入居者=あなた)が「原状回復義務」に対して誤解や勘違いをしていることです。

そして--これは非常に残念なことですが--大家さんや不動産屋さんの中には、誤解や勘違いをしたフリをしている人も多いのです。そういう輩は、こちら側の無知につけこみ、アレやコレやと難癖をつけて、敷金の返還に応じません。

しかし、そんな相手にひるむ必要は一切ありません!

「原状回復」は借りた時と同じ状態に戻すことではありません!
そして、敷金は支払ったのではなく預けたお金であり、全額返ってくるのが普通なのです!

当サイトでは、敷金トラブルに関する情報を詳しくご紹介しています。トラブルを回避したり、解決するために必要な理論武装のお役に立てれば幸いです。

敷金返還トラブルの原因「原状回復」の誤解とは?

筆者も若かりし頃に数度の引越しを経験しました。

思い返してみると、当時は「長く住んだのだから敷金が返ってこなくても仕方ない」という感覚でした。

敷金を預けたのは、入居の契約を交わした数年前だったため、それなりの金額とはいえ、執着心は薄れていました。

しかし、これは大きな間違いでした…。

むしろ、長く住んだからこそ、敷金はしっかりと返還されるべきなのです。

国土交通省が発表しているガイドラインでは、「原状回復」を以下のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

非常に分かりにくい文章ですので簡単にいうと…『賃借人(借主=入居者)が、何か大変なことをやらかしたせいで、とんでもなく建物の価値を下げたなら、その部分は復旧してください』ということです。

つまり、普通に生活をしていたのであれば、敷金は全額返還されるということです。

壁の画びょう跡や鍵の取替えも大家さんが負担

国土交通省のガイドラインには、具体的な例が記載されています。

  • 畳の表返し、表替え
  • フローリングのワックスがけ
  • 壁に貼ったポスターや絵画、ポスターの跡
  • 家具の設置による床・カーペットのへこみや設置跡
  • 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)

これらはすべて賃貸人(大家さん)が負担すべき項目となっています。

「ハウスクリーニング代」も支払う必要なし!

そして、これには驚く人も多いと思いますが、

  • 専門業者による全体のハウスクリーニング

も賃貸人(大家さん)が負担する項目なのです!

退去する旨を伝えた際に「次の人のために部屋を綺麗にします。敷金はその費用に充てます」と言われたことはありませんか?

これは大きな間違いであり、もしかすると、ハウスクリーニング料金を支払う必要がないことを知っているか試しているのかもしれません。

また、部屋を借りる時に結んだ契約書の中に「ハウスクリーニングの費用は借主(=入居者)が負担する」という内容の「特約」が記載されている場合もあります。

しかし、多くの裁判で「特約」が記載されていたとしても、借主(=入居者)がハウスクリーニング費を支払う必要はないとの判決が出されています。

自信を持って返還を求めていきましょう。

敷金トラブルは入居時から始まっている!

当然ながら、敷金トラブルが発生するのはこれまでの部屋を退去する時です。

しかし、敷金トラブルに巻き込まれないためには、入居した時点で退去のことを考えておくことが重要なのです!

退去時に「このキズは入居時からありました」と写真とともに提示できれば、大家さんや不動産屋さんはグゥの音も出ません。

前述のガイドラインにも以下のように書かれています。

トラブルを未然に防止するために

原状回復の問題は、賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちですが、これを「入口」すなわち入居時の問題と捉え、入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくことや、契約締結時において、原状回復などの契約条件を当事者双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結するなどの対策を的確にとることが、トラブルを未然に防止するためには有効であると考えられます。

新しい部屋へ引越しをしたなら、まずは新居をくなまくチェックして、バシバシと写真を撮っておくことを強くオススメします!

それでも返還されないなら「内容証明郵便」を送る!

返還された敷金の金額に疑問を感じた場合、それを不動産屋さんや大家さんにきちんと伝える方法として内容証明郵便の送付という手段があります。

内容証明郵便とは、

  1. 手紙を出したこと
  2. 手紙を出した日づけ
  3. 手紙の内容
  4. 相手に届いたこと

を日本郵便が法的に証明してくれる手紙です。

仮に訴訟となった場合、普通郵便では証拠になりません。

つまり、「内容証明郵便」を送付することは、「裁判も辞さない覚悟で主張しています」というメッセージを、大家さんや不動産屋さんに伝えることにもなるのです。

「内容証明郵便」には、『用紙1枚につき20文字以内×26行以内』といった少し面倒くさいルールがありますが、素人でも作成することができます。

「内容証明郵便」の送付には、1,250円の費用が必要です。あとは、不当に請求された金額と比べて、アナタがどう判断を下すか、です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!

最後の手段は「少額訴訟」

内容証明郵便を送付することで異議を申し立てても大家さんや不動産屋さんが応じてくれない場合、最後の手段として「少額訴訟」があります。

少額訴訟は、簡易裁判所における民事手続きのひとつで、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用することができる非常に便利な制度です。

もちろん、訴訟ですから、その手続きは簡単ではありません。

しかし、裁判は原則として1日で終わります。訴訟の途中で話し合いによる解決(和解)へと移行する場合もあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

敷金返還の最終手段である「少額訴訟」とは? その方法と手順

まとめ

「内容証明郵便」「少額訴訟」といった耳慣れない単語が出てきましたが、これらは不当な請求に対抗するために大いに役に立つ制度です。

改めてお伝えしますが、敷金は全額返還されるのが普通です!

もしかすると、今住んでいる部屋を退去する際に、敷金トラブルに巻き込まれるかもしれません。

当サイトの記事内容を、大家さんや不動産屋さんと協議する際の大前提として利用していただければ幸いです。