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入居前こそ重要!知っておきたい普段からできる敷金トラブル回避術

退去時に発生する「敷金トラブル」を回避するためには入居時の対応が重要です

たくさんの賃貸物件の中からお気に入り探すお部屋探しは本当に楽しいものです。

その際、近所のコンビニや飲食店、スーパーなどをチェックしながら、新生活に思いを馳せることはあっても、退去する時のことを考える人は少ないでしょう。

しかし、「敷金トラブル」は入居時…否、契約を結ぶ時から始まっています!
スムーズな敷金の全額返還は、最初が重要なのです!

「敷金トラブル」対策は入居前のチェックが重要!

原状回復とは?国土交通省のガイドラインはどこまで守ってくれる?では、国土交通省が公表している「原状回復に関する費用負担等のルールに関するガイドライン」について詳しく紹介しています。

そのガイドラインの冒頭(第1章)で、ガイドライン公表の理由として以下のような説明がなされています。

賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちである原状回復の問題を、「入口」すなわち入居時の問題として捉えることを念頭において、入退去時の物件の確認等のあり方、契約締結時の契約条件の開示をまず具体的に示すこととした。

そうなんです。
「敷金トラブル」の元凶と言える「原状回復の問題」は、退去時ではなく入居時の問題と捉えるべきなのです。

ガイドラインに掲載されている【入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト】

国土交通省が公表しているガイドラインには、入退去時に使えるチェックリスト【入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト】が掲載されています。

かなり細かく項目が分かれていますが、それぞれをひとつずつチェックすることが、退去時のトラブルを大きく減らしてくれる鍵となります。

入居時の状況を知る意味でも、細かく確認しておくことをオススメします。

「原状回復に関する費用負担等のルールに関するガイドライン」に掲載されている、入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト/1ページ目
「原状回復に関する費用負担等のルールに関するガイドライン」に掲載されている、入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト/2ページ目

以下にこの2ページだけを抽出したPDFデータを用意しましたので、ぜひご活用ください。
【入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト】ダウンロード

入居前の写真をたくさん撮っておこう

上記のチェックリストに記入して新居の状況を確認すると同時に、写真を撮っておきましょう。リストの各項目すべてにおいて撮影しておくくらいの気持ちでいいかもしれません。

退去時に「このキズは入居した時からありました」と主張するために、もっとも有効なのは写真を残しておくことです。

実は証拠を提出しなければいけないのは大家さん側

よくよく考えると当たり前のことなのですが、大家さんが借り主に対して原状回復費用を請求する場合、証拠を示さなければいけないのは大家さん側です。

貸し主(大家さん)が証拠を提示する義務のことを、債権者の立証責任といいます。

退去前に大家さんや不動産屋さん立ち合いのもとで物件の引き渡しをするのが一般的ですが、その際に「このキズは入居時にはなかった」という話になれば、「その立証責任は法律上大家さんにあります。写真などはありますか?」と主張すれば、引き下がってくれるかもしれません。

つまり、最初からこちらが撮った写真を提出する必要はないのです。
「借り主(あなた)の主張を裏付けるために使う」というスタンスで、伝家の宝刀として忍ばせておきましょう。

【特約】に要注意! 契約書類のチェックポイント

契約書に書かれている内容の中で、

  • 家賃
  • 敷金・礼金
  • 家賃が引き落とされる銀行
  • 家賃の引き落とし日

などはもちろん確認するでしょうが、たくさんの文字が居並ぶ契約書を隅々まで読む人は少ないのではないでしょうか?筆者も「あー、はいはい」とロクにその内容を読まずに印鑑を押した経験があります…。

しかし、入居前に不動産屋さんや大家さんと結ぶ契約書をしっかりとチェックすることが「敷金トラブル」回避の第一歩です。

具体的なチェックポイントとして挙げられるのは、契約書に【特約】が設けられていないか、です。

【特約】でよくある内容とは?

原状回復とは?国土交通省のガイドラインはどこまで守ってくれる?の中で、退去時に「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」でなければ支払う必要がないことをご紹介しました。

しかし、その例外として、退去時のハウスクリーニング料金を敷金から補填するといった内容が【ハウスクリーニング特約】として記載されていることが多いのです。

また、退去時に入口の鍵を取り替える【鍵交換費用負担特約】もよく見られます。

【ハウスクリーニング特約】【鍵交換費用負担特約】に対するこれまでの判例は?

【ハウスクリーニング特約】や【鍵交換費用負担特約】を設けること自体が違法ではありません。【ハウスクリーニング特約】には、退出時に部屋の掃除をする必要がなくなる、【鍵交換費用負担特約】には前入居者がコピーしておいた鍵を利用した侵入を防止できるとった利点があるためです。

しかし、これまで行われた「敷金トラブル」に関する裁判の判例によると、まず、契約を結ぶ時に借り主にしっかりと説明し、借り主が費用負担を承諾した上で契約をしていなければ、退去時に負担を強いることはできません。

つまり、契約内容をしっかりとチェックすることが重要ということです。
「敷金トラブル」は契約の時から始まっているのです。

普段からできる「敷金トラブル」回避術

新生活がはじまってから実行できる「敷金トラブル」回避術は…部屋をキレイに使うに尽きます。

原状回復とは?国土交通省のガイドラインはどこまで守ってくれる?

「原状回復」は借りた時のようにピカピカにすることではありません

マンションやアパートを借りる時に結ぶ契約書には、「部屋を明け渡しす際には原状に回復してください」という内容が明記されています。

もちろん、使用した家具やベッド、ゴミなどをそのままにして退去する人はいません。

しかし、どんなに頑張って掃除をしても、部屋を借りた当時のようなピカピカの状態に戻せるはずもありません。
居住期間が長ければ長いほど、部屋全体が劣化するのは当たり前です。

そこで、あなたは
「部屋を汚したのは自分なのだから、敷金から引かれるのは仕方がない」
「元に戻すために費用がかかるのはしょうがない」
と思っていませんか?

その考えは大きな間違いです!

まずはその点についてご説明します。

敷金は「原状回復(原状復帰)」用の預け金ではない!

「原状回復」という言葉を辞書で調べてみると、

ある事情によってもたらされた現在の状態を、本来の状態に戻すこと。例えば、契約を解除した場合、契約締結以前の状態に回復させること。

と書かれています(デジタル大辞泉(小学館)より)。

契約締結以前!?と驚いた方も多いのではないでしょうか。
もしかすると、この本来の言葉の意味が、いわゆる「敷金トラブル」の元凶なのかもしれません。

「契約締結以前」ということは、畳やクロス、壁紙をすべて張り替えないといけないのでは?と考えてしまいそうです。

確かに、次に部屋を借りる人のことを考えれば、できるだけ美しい状態に戻すべきかもしれません。

しかし、安心してください。
それを行うべきはオーナーである大家さんです。あなたではありません。

元に戻すための費用は、これまでに支払ってきた家賃に含まれています。
敷金を切り崩してまで支払う必要は一切ありません!

国土交通省がガイドラインを発行した理由

しかし、不動産業界において「原状回復」に関するトラブルは増加の一途をたどっていました。
それは当然です。
仮に借り主が見つからずに空室のままであったとしても、部屋は劣化します。その劣化分を修復する費用を「その部屋を借りていたから」「その部屋で暮らしていたから」という理由で、あなたが支払う必要はありません。しかし、多くの大家や不動産業者が「次に借りる人のために」というもっともらしい理由で、高額請求をしていたのですから。

こうしたトラブル多発を受け、国土交通省(当時は「建設省」)は平成10(1998)年3月に【「原状回復」に関する費用負担等のルールに関するガイドライン】を公表しました。

このガイドラインに法的な拘束力はありませんが、多くの裁判事例と取引の実務などが考慮されています。その後、平成16(2004)年2月と平成23(2011)年8月に裁判事例およびQ&Aを追加するといった改訂が行われています。

ガイドラインは全173ページ(1.93MB)で、以下のページからダウンロードできます。
住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロード – 国土交通省

とは言っても、ガイドライン公表後(2009年)でも、こんな不当な請求が平気で行われていたようです。
レオパレスを本日退去したのですが部屋のカーペットにタバコのコゲが有り、張替えという事で5万2千円位と言われました。(YAHOO!知恵袋より)

ガイドラインにおける「原状回復」

国土交通省が公表したガイドラインでは、「原状回復」を以下のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

そして、その費用は借り主が負担すべきと書いています。

しかし、安心してください。
つまり、「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」でなければ支払う必要がないということです。

「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」とは?

当然ながら、この「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」とは、どこまでを指すかが気になります。
ガイドラインでは【損耗・毀損事例の区分】とのタイトルで、次のような図(区分表)が掲載されています。

「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」に関する区分表

表内のA、B、Gの区分は以下の通りです。

  • A…賃借人(借り主)が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
  • B…賃借人(借り主)の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)
  • A+B…基本的にはAであるが、その後の手入れなど賃借人(借り主)の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの
  • A+G…基本的にはAであるが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの

ガイドラインでは、上記の4項目のうち「BおよびA+Bについては賃借人(借り主)に原状回復義務がある」と書かれています。

しかし…例えば、Bの区分の説明にある、【したり、しなかったりすると考えられるもの】という表記は非常に中途半端です。

「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の具体例

そこで、ガイドラインにはA+G、A+B、Bという区分の具体的な例が、【損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表 (通常、一般的な例示)】というタイトルで記載されています。

AやA+Gに区分される項目

床(畳、フローリング、カーペットなど)

  • 畳の裏返し、表替え(特に破損等していないが、次の入居者確保のために行うもの)
    入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。
  • フローリングワックスがけ
    ワックスがけは通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いが強いことから、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
  • 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
    家具保有数が多いという我が国の実状に鑑みその設置は必然的なものであり、設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。
  • 畳の変色、フローリングの色落ち日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)
    日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、賃借人には責任はないと考えられる(賃借人が通知義務を怠った場合を除く)。

壁、天井(クロスなど)

  • テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
    テレビ、冷蔵庫は通常一般的な生活をしていくうえで必需品であり、その使用による電気ヤケは通常の使用ととらえるのが妥当と考えられる。
  • 壁に貼ったポスターや絵画の跡
    壁にポスター等を貼ることによって生じるクロス等の変色は、主に日照などの自然現象によるもので、通常の生活による損耗の範囲であると考えられる。
  • エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
    エアコンについても、テレビ等と同様一般的な生活をしていくうえで必需品になってきており、その設置によって生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる。
  • クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
    畳等の変色と同様、日照は通常の生活で避けられないものであると考えられる。
  • 壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
    ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。

建具(ふすま、柱など)

  • 網戸の張替え(破損等はしていないが次の入居者確保のために行うもの)
    入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。
  • 地震で破損したガラス
    自然災害による損傷であり、賃借人には責任はないと考えられる。
  • 網入りガラスの亀裂(構造により自然に発生したもの)
    ガラスの加工処理の問題で亀裂が自然に発生した場合は、賃借人には責任はないと考えられる。

設備、その他

  • 全体のハウスクリーニング(専門業者による)
    賃借人が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去等)を実施している場合は次の入居者確保のためのものであり、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
  • エアコンの内部洗浄
    喫煙等による臭い等が付着していない限り、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
  • 消毒(台所、トイレ)
    消毒は日常の清掃と異なり、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
  • 浴槽、風呂釜等の取替え(破損等はしていないが、次の入居者確保のため行うもの)
    物件の維持管理上の問題であり、賃貸人負担とするのが妥当と考えられる。
  • 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
    入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。
  • 設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの)
    経年劣化による自然損耗であり、賃借人に責任はないと考えられる。

A+Bに区分される項目

床(畳、フローリング、カーペットなど)

  • カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ
    飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる。
  • 冷蔵庫下のサビ跡
    冷蔵庫に発生したサビが床にきる程度であれば通常の生活注意義務違反に該当する場合の範囲と考えられるが、そのサを与えることは、賃借人の善管ビを放置し、床に汚損等の損害付着しても、拭き掃除で除去でが多いと考えられる。

壁、天井(クロスなど)

  • 台所の油汚れ
    使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合は、通常の使用による損耗を超えるものと判断されることが多いと考えられる。
  • 結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
    結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。
  • クーラー(賃貸人所有)から水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食
    クーラー保守は所有者(賃貸人)が実施するべきものであるが、水漏れを放置したり、その後の手入れを怠った場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

設備、その他(など)

  • ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
    使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。
  • 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビなど
    使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

Bに区分される項目

床(畳、フローリング、カーペットなど)

  • 引越作業で生じたひっかきキズ
    賃借人の善管注意義務違反または過失に該当する場合が多いと考えられる。
  • 畳やフローリングの色落ち(賃借人の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
    賃借人の善管注意義務違反に該当する場合が多いと考えられる。
  • 落書き等の故意による毀損

壁、天井(クロスなど)

  • タバコ等のヤニ・臭い
    喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。
  • 壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)
    重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。なお、地震等に対する家具転倒防止の措置については、予め、賃貸人の承諾、または、くぎやネジを使用しない方法等の検討が考えられる。
  • クーラー(賃借人所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食
    クーラーの保守は所有者(この場合賃借人)が実施すべきであり、それを怠った結果、壁等を腐食させた場合には、善管注意義務違反と判断されることが多いと考えられる。
  • 天井に直接つけた照明器具の跡
    あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。
  • 落書き等の故意による毀損

建具(ふすま、柱など)

  • 飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
    (考え方)特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾や尿の後始末などの問題でもあることから、ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合は賃借人負担と判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件でのペットの飼育が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。
  • 落書き等の故意による毀損

設備、その他

  • 日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
    賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。
  • 鍵の紛失、破損による取替え
    鍵の紛失や不適切な使用による破損は、賃借人負担と判断される場合が多いものと考えられる。

ガイドラインを詳しく見たいという方は、住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロード – 国土交通省からガイドラインをダウンロードしてみてください。

ここまで読まれて、「やはり【タバコ等のヤニ・臭い】などはBに区分されているのだから、敷金から費用を引かれても仕方ないのではないか」と思っている方もいるのではないでしょうか?

しかし、安心してください。

そもそも、Bの区分自体が「賃借人(借り主)の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの」という非常に曖昧な表現をされています。

そして、ガイドラインには以下のような表記があるのです。

事例区分BやA(+B)の場合には、賃借人に原状回復義務が発生し、賃借人が負担する費用の検討が必要になるが、この場合に修繕等の費用の全額を賃借人が当然に負担することにはならないと考えられる。

これは、原状回復において「経過年数(耐用年数)」という考え方が導入されたからにほかなりません。

「経過年数」とは?

「経過年数」とは、物の価値は年数の経過によって減少していくという考え方です。
「耐用年数」と呼ばれることもあります。

難しいことではありません。

例えば、新車で購入した車を10年使用して売ろうとした場合、新車の価格で買ってもらうことはできません。なぜなら、購入から10年間使用したことで、その車の価値が下がっているからです。

同様に、部屋のクロス(壁紙)やカーペットなども年々その価値は下がっています。

入居時に新品だったカーペットの価値が退去時に半分(50%)になっていたとすれば、そのカーペットを買い替える際に借り主が負担すべき金額は、最大でも現在の価値(「残存価値」と言われます)である半額(50%)となります。

商品の価値はどのようにして下がる?

ここで誰もが抱くであろう疑問が、「カーペットの価値はどうやって下がるのか」ということです。

クロスやカーペットなどには、以下のように決まった経過年数(耐用年数)があります。
カーペットは6年ですから、その価値が半分になるのは新品購入から3年後ということになります。

  • 流し台…5年
  • 畳床…6年
  • カーペット…6年
  • クッションフロア…6年
  • クロス(壁紙)…6年
  • 冷暖房用機器(エアコン、ルームクーラー、ストーブ等)…6年
  • 電気冷蔵庫…6年
  • ガス機器(ガスレンジ)…6年
  • インターホン…6年
  • 書棚…8年
  • タンス…8年
  • 戸棚…8年

また、以下のような項目は経過年数(耐用年数)を考慮するのではなく、「当該建物の耐用年数」と呼ばれるものが適用されます。

  • フローリングの全面張替え
  • ユニットバス
  • 浴槽
  • 建物と一体型の下駄箱
  • ふすまや障子などの建具

「当該建物の耐用年数」は国税庁が定めており、具体的な年数は以下の通りです。

  • 軽量鉄骨造(住宅用)…19年
  • 木造(住宅用)…22年
  • 重量鉄骨造、鉄骨造(住宅用)…34年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート(住宅用)…47年

つまり、自分が借りていた賃貸物件がどれに該当するのか、また、何年に建てられた物件であるかが重要になります。

まとめ

例えば、あなたが6年間借りた部屋を退去するなら、入居時に新品だったカーペットの価値はゼロ(正確には1円)となっています。つまり、「カーペットの取り替え費用を敷金から徴収」は通用しません。

さらに、あなたが入居した時、クロスやカーペットなどすべてが新品とは限りません。
その場合、「経過年数(耐用年数)」は購入時にさかのぼって考慮されます。
入居の時点で、クロスやカーペットなどの価値が目減りしているかもしれないのです。

これで、冒頭で書きました
「部屋を汚したのは自分なのだから、敷金から引かれるのは仕方がない」
「元に戻すために費用がかかるのはしょうがない」
という考えが大きな間違いであることをご理解いただけたのはないでしょうか。

新サービス「電子内容証明」はメリット多し

メリットの多い新サービス「電子内容証明」

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!では、文書による「内容証明郵便」の概要をご説明しました。

ただ、敷金をしっかりと取り返すためとはいえ、色々と面倒な手順を踏まなければいけないのも事実です。

そこで、おすすめなのがインターネットを使った「電子内容証明(e内容証明)」です。

「電子内容証明(e内容証明)」専用Webサイト

「電子内容証明」のメリット

「電子内容証明」には以下のようなメリットがあります。

  • ネットで完結
  • 24時間いつでも発送可能
  • 郵便局に行く必要なし
  • 文字数に制限なし
  • 印刷不要
  • 印鑑不要
  • 封筒不要

さらに、

  • 完全同文内容証明
  • 不完全同文内容証明

に対応しているので、複数の受取人に対して、同じ文面の内容証明を簡単に出すことが可能です。
また、一度に100通まで一括で出すことができ、料金も個別に出すよりも安くなっています。

「電子内容証明」の料金

「電子内容証明」の料金は以下のようになっています。

■郵便料金
82円

■内容証明関連料金
<1>電子郵便料金
①電子内容証明文書1枚目…15円
②電子内容証明文書2枚目以降1枚ごとに(5枚まで)…5円

<2>内容証明料金
①電子内容証明文書1枚目…375円
②電子内容証明文書2枚目以降1枚ごとに(5枚まで)…353円
③同文内容証明(2通目以降1通ごとに(100通まで))…206円

<3>謄本送付料金
①通常送付…298円
②一括送付(受取人数100人まで)…494円

<4>一般書留料金
430円

例えば、内容証明文書が3枚(約1500文字)の場合、262円お得になります。

「電子内容証明(e内容証明)」は文書での「内容証明郵便」よりお得

出典:e内容証明(電子内容証明サービス) – 日本郵便

  • 配達証明…310円
  • 速達…280円

をオプションとして併せて利用することも可能です。

手軽な上に、料金が安くなるのですから、コンピュータを使える環境であれば利用しない手はありません。

「電子内容証明」利用上の注意

「電子内容証明」を利用する際の注意点として以下が挙げられます。

  • 利用者登録が必要
  • Microsoft Office(マイクロソフトオフィス)のWord(ワード)を搭載したPCが必要
  • 海外への送付、海外から日本への送付は不可

支払いはクレジットカードがないと少し面倒

前項でご説明した料金は、クレジットカードか料金後納という方法で支払います。
クレジットカードは以下の5種類とVISAデビットカードが利用可能です。

  • American Express
  • Diners
  • JCB
  • VISA
  • MasterCard

料金後納は、事前に取り扱い郵便局に出向いて承認を受ける必要がありますので、おすすめできません。

「電子内容証明」新規利用の流れ

「電子内容証明」を利用するには、まず「電子内容証明(e内容証明)」専用Webサイトにアクセスします。
右クリックをして、【新しいタブで開く】か【新しいウインドウで開く】を選ぶと記事を読みながら進められます。

まずは仮登録

画面の右上にある【新規利用登録】をクリックし、画面が変わったら【次に進む】をクリックして仮登録を行います。
その際、

  • メールアドレス
  • パスワード

の入力が必要です。

次に本登録へ

仮登録が終了すると、登録したメールアドレスに【本登録用リンク】が書かれたメールが届きます。
リンクをくりっくすると、本登録開始画面が表示されますので、メールアドレスとパスワードを入力して【ログイン】をクリックします。

次に表示される画面の上部には、2016年4月2日以前の利用者に向けた入力欄があります。
ほとんどの方が該当しないと思いますので、ここはスルーして画面の下段へ進んでください。

画面の下段には

  • お名前/漢字(必須)
  • お名前/フリガナ(必須)
  • 郵便番号(必須)
  • 都道府県(必須)
  • 市区町村(必須)
  • 町域名(必須)
  • 丁目・番地等
  • アパート・ビル・マンション
  • 電話番号(必須)
  • 会社名
  • 部署名
  • 秘密の質問(必須)
  • 秘密の質問の答え(必須)

を入力する欄がありますので、入力を行い【次へ進む】をクリックします。

入力内容の確認をすると、決済方法の選択画面となります。

  • クレジット決済
  • 料金後納

から選べますが、前述のとおり、クレジット決済をオススメします。
クレジットカードの情報を入力すれば本登録が完了です。そのまま内容証明文書を作成する場合は【ログイン】をクリックします。

会員専用メニューから文章をアップロード

ログインすると、会員専用メニューの画面が表示されます。
まずは差出し方法を以下の3種類から選ぶ必要があります。

  • かんたん差出し
  • 差出し
  • 差込差出し

表示画面にそれぞれの差出し方法の説明が書かれていますが、ほとんどの方が1通の内容証明文書を1人(1社)に発送する「かんたん差出し」を選ぶことになると思われます。

次に文書ファイルをアップロードする画面が表示されます。
文章は直接書くのではなく、事前に書いておいたファイルをアップロードする形になります。

こちらのページから

  1. サービス概要やご利用方法が書かれた操作マニュアル
  2. 文章ファイルのひな形(A4縦・横)
  3. 差込差出し用ファイルのひな形

をダウンロードすることができます。
「2」のひな形をワード(Word)で開いて、事前に文章を作成してきましょう。
サイズはA4縦が一般的です。

ダウンロードしたワードファイルには、下部に空白があります。そこには差出人や受取人の氏名・住所などが挿入されますので、空けたまま使用してください。

差出人、受取人の情報を入力

ファイルのアップロードが完了すると、差出人に関する情報を入力する画面が表示されます。
最下部の【差出人の氏名、住所を自動挿入】は【する】を選び、【次へ進む】をクリックします。

次に受取人に関する情報を入力する画面になります。下部の4欄は以下のように入力します。

  • 【受取人の氏名、住所を自動挿入】    …する
  • 【受取人への正本に「配達証明」を付与】 …する
  • 【受取人への正本に「速達」を付与】   …しない
  • 【受取人の正本に「親展」を付与】    …しない

10年の時効消滅が目前、といった緊急の場合には、3番目の【受取人への正本に「速達」を付与】を【する】にして、速達での送付を希望しましょう。

「受取人は大家さんと不動産屋さんのどちらにするべきか」は、「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!をお読みください。

最後に記入した内容確認を行い、【次へ進む】をクリックします。

作成した文書を最終確認

最終確認画面では、まず【文書確認】の方法を選びます。

【文書イメージを、ブラウザで確認する。】が推奨されていますが、PCにダウンロードをして確認する意味では、下の【文書イメージを、イメージファイルをダウンロードして確認する。】方をオススメします。

続いて、差出人と受取人の名前・住所、料金を確認します。
【確認】をクリックして、ブラウザあるいはダウンロードで文書を確認します。

「差出人宛謄本」とは?

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!でもご紹介しましたが、内容証明郵便の証明文書は、

  • 相手に発送する分
  • 郵便局が証明のために保存する分
  • 差出人(あなた)が手元に保存する分

の合計3通を作成する必要があります。もちろん、内容はすべて同じものです。この確認画面で書かれている【差出人宛謄本】は、差出人であるあなた宛に簡易書留で発送され、手元で保管しておく文書のことです。

最終チェック後にクレジットカード決済

文書の内容に間違いがなければ【確認済み】をクリックします。
同時に、ボタンの上に表示されている【謄本返送料金】も確認しておきます。

続いて表示される各料金や合計金額を確認し、【確認済】をクリックします。

すべての最終確認を終えたら、

  • 文書内容を確認しました。
  • 料金を確認しました。

の2つにチェックを入れて、【差出し】をクリックします。

差出しが完了すると、クレジットカードの決済画面が表示されます。
【次へ】→【購入】の順でクリックしてください。

まとめ

以上が「電子内容証明」の概要です。

手続きの最終画面では2通分の書留引受番号が表示されますので、念のために印刷かメモをしておきましょう。

ほどなくして、あなたが保管しておくべき謄本が簡易書留で届きます。
万が一、訴訟(裁判)へと発展した場合に重要な証拠となりますので、しっかりと保管しておいてください。

訴訟に関する内容は以下の記事を参考にしてください。

敷金返還の最終手段である「少額訴訟」とは? その方法と手順

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!

「内容証明郵便」を使って敷金の全額返還を要求

大家さんや不動産屋さんから提示された敷金返還の見積書に対して、その金額に疑問があったり、納得できない場合は、「敷金を全額返還して欲しい」という意思を大家さんや不動産屋さんにしっかりと伝える必要があります。

そこで有効なのが「内容証明郵便」です。

なぜ「内容証明郵便」が有効なのか?
そもそも「内容証明郵便」とは何なのか?
本稿ではこれらの疑問についてご説明します。

「内容証明郵便」とは?

内容証明郵便は、

  • 手紙を出したこと
  • 手紙を出した日づけ
  • 手紙の内容
  • 相手に届いたこと

を日本郵便(郵便事業株式会社)が法的に証明してくれる手紙です。
ちなみに…当たり前のことですが…書いてある内容が正しいかどうかを証明するわけではありません。

言い換えれば、こちらの主張を存分に記載しても問題ナシということです。

「内容証明郵便」の用途と効果

これまでに利用したことがある方はほとんどいないと思いますが、「内容証明郵便」は以下のような場面で使われています。

  • 不動産売買の契約解除などの通知
  • 商品売買時の料金未払いに対する抗議
  • 商品の不着や破損に対する抗議
  • クーリングオフの通知
  • ブラック企業に対する退職届や賃金未払いの請求
  • 債権回収の督促状
  • 時効による債権消滅の通知
  • 損害賠償請求
  • 交通事故や不倫などの不貞行為の慰謝料請求
  • 債務免除
  • 債権譲渡の通知
  • 債権の時効中断
  • 検察、警察、都道府県労働局等司法警察員などへの告訴、告発状

なぜこういった場面で「内容証明郵便」が使われているのでしょうか?

それは、「内容証明郵便」が手紙の内容と郵送した日時を明確にできるため、訴訟(裁判)において証拠となるからです。普通郵便は証拠として扱われません。

つまり、あえて「内容証明郵便」で送ることで、「こちらは裁判も辞さない覚悟を持っていますよ」ということを伝えることができるのです。

Twitterには、このようなツイートもありました。

「内容証明郵便」にかかる費用

「内容証明郵便」を郵便局から出す場合の費用は以下のようになります。

①通常郵便の料金
82円(定型25グラムまで)

②内容証明料(1枚)
430円
※2枚目以降は1枚毎に260円が加算されます。

③書留料
430円

④配達証明料
310円

①~④の合計金額は1,250円です。

もし速達で送るなら280円(250グラムまで)が加算されます。

「内容証明郵便」の書き方・作成方法

「内容証明郵便」で使用する用紙は、文具店などで販売されている赤い枠・赤いマス目の内容証明書用紙(写真)はもちろん、一般的なプリント用紙でも、便せんでもなんでもOKです。やはり市販の内容証明書用紙を使った方が、こちらの本気度が伝わりやすいでしょう。

ちなみに、封筒の色や大きさにも規定はありません。

「内容証明郵便」で使用する内容証明書用紙

「内容証明郵便」は手書きでも問題はありませんが、パソコンやワープロを使うことをおススメします。なぜなら、同じ書面を3通用意する必要があるからです。

3通のうち、1通を相手に送り、1通を日本郵便が保管し、1通をあなたが保管することになります。

文面は要点をまとめてシンプルに

文面は用紙1枚につき20文字以内×26行以内と決められています。

  • 半角文字
  • アルファベット
  • 数字
  • 句読点

も1文字と数えますので注意しましょう。括弧は2つで1文字とカウントされます。つまり、[ ]や( )はペアで1文字となります。

文面の内容は、要点をシンプルに書くことがポイントです。もちろん、季節の挨拶や近況などは一切不要です。

文面には、以下のような項目を入れるようにしましょう。

  • 通知日
  • 貸主名と住所(不動産会社名・住所)
  • 氏名
  • 借りていた物件と所在地
  • 契約終了日
  • 退室した日
  • 問題の内容
  • 振込先

文体は「です・ます」調です。
どんなに怒り心頭であったとしても、相手を泥棒呼ばわりするような感情的な表現は避けるようにしましょう。そうした表現は、脅迫や恐喝、名誉棄損の対象として扱われてしまうことがあるからです。あくまでも事務的に書くことを心がけてください。

文面のテンプレートはインターネットで入手可能

インターネットで「内容証明郵便」と検索をすれば、サンプルを入手することができます。
例えば、【[文書]テンプレートの無料ダウンロード(https://template.k-solution.info/2016/10/10093551.html)】で入手可能な文面は以下のようになっています。

私は貴殿と平成○○年○○月○○日に◯◯県◯◯市◯◯町1-2-3 ◯◯マンション ◯◯号室について賃貸借契約を締結しました。契約締結の際には、貴殿に敷金として金○○万円をお預けしております。そして、平成○○年○○月○○日に契約が終了しましたが、私は平成○○年○○月○○日に同建物を明け渡しております。
 したがって、貴殿には私に対して敷金◯◯万円の返済義務がありますが、平成○○年○○月○○日、貴殿は私に「◯◯費用」として◯◯万円を差し引いた残金◯◯万円を支払う旨の見積書を送付してきました。
 しかし、建物には経年変化、通常の使用を越えるような損耗がありませんので、国土交通省のガイドラインによれば、私には上記費用を負担する義務はなく、敷金は全額返済されるべきです。
 よって、本書面到達後◯日以内に敷金◯◯万円満額を下記口座あてにお支払いくださるよう請求いたします。
 なお、上記期間以内にお支払いなき場合には、ただちに裁判所に少額訴訟の手続きに入りますので、あわせて申し添えます。

また、【敷金返還請求書/内容証明net(http://www.naiyo-shoumei.net/j15.html)】で紹介されている文面は以下の通りです。

こちらは状況説明などにより多くのスペースをとっています。
もはや「シンプル」とは呼べない文字数かもしれませんが、良い対応が期待できない大家さんや不動産屋さんに対しては、ここまでしっかりと主張をすることが必要かもしれません。

敷金返還請求通知書
平成●年●月●日

被通知人
 東京都●●区●● ○○ビル○階
 ●●●● 殿
通知人
 東京都●●区●●
 甲野 太郎

 私は、平成○○年○○月○○日より、貴殿が所有している下記建物を借り受け、居住しておりました。
所  在:
建物名 :
部屋番号:

 そして、平成○○年○○月○○日に解約の予告をした上で、平成○○年○○月○○日に同物件を貴殿に明け渡しました。

 しかしながら、賃貸借契約の締結時に敷金として預託しておりました金●●●,●●●円につき、すでに建物明け渡し後、相当な期間が経過しているにもかかわらず、貴殿からは未だ返還をして頂けておりません。
 なお、私は、賃借期間中、細心の注意をはらって生活してきたものであり、賃料の滞納もなく、同物件に関して経年変化以外に、通常の使用を超えるような消耗はありませんでした。

 当然ご承知のこととは思いますが、民法606条1項においては、賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うと定められ、最高裁判所平成17年12月16日により、通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗などの必要経費分は、通常、賃料の中に含まれていると解されております。
また、消費者契約法第9条1項1号では、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額の予定等について、平均的な損害の額を超えるものは、その超える部分について無効であるとされ、同法10条においても、民法、商法等による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、消費者の利益を一方的に害するものは、無効とされております。

 よって、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の例示する以下の趣旨に反した費用について、敷金から控除することは、これをすべて拒否致します。
①次の入居者募集や確保の為に行うもの
②物件の管理上の必要から生じるもの
③自然損耗や通常の使用により生じるもの。

また、仮に賃借人の故意または過失によって生じた損害であっても、畳床、カーペット、クッションフロア、クロスなどは経過年数6年で減価償却されて1円の評価となりますので、賃借人の負うべき責任範囲は、新品購入した時点から6年を経過した時点で1円になる範囲に限られます。

 なお、「賃借人の責任の有無にかかわらず、また、居住年月日の長短にも関係なく、解約時には当然に修繕費用を敷金から差し引く旨の特約は、無効である。」という趣旨による判例も数多くあります。
 つきましては、貴殿に対し、本書面到着後1週間以内に、金●●●,●●●円を返還されるよう請求致します。
 よって、返還して頂けない場合には、残念ながら、宅建協会や国民生活センター、消費者センター等の関係機関への申告や、訴訟・仮差押えその他の法的手続き、などの然るべき対応をとる所存ですので、ご承知おき下さい。
草々

敷金返還の猶予については、相手の手元に書面が到着する日を確定できないため、「到着後●日以内」としするのが一般的です。投函日から計算して相手の元に届くであろう日から数日の余裕を持たせましょう。

この日付は送り主が決めるものなので、法的な効力があるわけではありません。郵便を受け取った後に、相手に応じる気があれば、要求通りの金額が振り込まれるか、あるいは「もう1週間猶予をください」といった連絡が入るはずです。

もし、何も音沙汰がなければ、「応じられない」「返還しない」という意思表示ということになります。

「内容証明郵便」の送り先は大家さん? 不動産屋さん?

ところで、「内容証明郵便」の郵送先…つまり、敷金返還の請求先は大家さんと不動産屋さんのどちらが良いのでしょうか?

部屋を借りる時、すべての手続きや契約金の支払いなどを不動産屋さんを相手に行うことはよくあります。
「部屋を借りてから退去まで、一度も大家さんに会うことはなかった」ということも珍しい話ではありません。

しかし、仮に大家さんの顔すら知らないという状況であったとしても、法律的には敷金返還の請求先は貸主である大家さんになります。

ということは、「内容証明郵便」の送り先は常に大家さん…とお伝えしたいところですが、実はそうではありません。
不動産業者に送った方が効果的な場合もあるのです。

そこで指針となるのが、部屋を借りている時に家賃を支払っていた相手です。
家賃の振込先が個人名であったり、不動産屋さんとは異なる名義であった場合は大家さん宛てに、不動産業者の口座に入金していたなら不動産業者が送付先となります。

準備ができたら郵便局へ

内容証明書の文面ができたら、郵便局に持っていきます。しかし、ここで注意事項がひとつ。

実は、すべての郵便局が「内容証明郵便」を受け付けてくれるわけではないのです。

そのため、最寄りの郵便局が受け取り可能かを事前に確認しておくようにしましょう。

封筒はのりづけをせず、切手も貼らずに持参

郵便局に持参するものは以下となります。

  • 内容文書(請求先に送るもの)
  • 内容文書の謄本(コピー)2通
  • 受取人(請求先)と差出人の住所・氏名を記載した封筒
  • ハンコ(三文判でも可)
  • お金

郵便教で「配達証明つきの内容証明郵便」を送りたい旨を伝えると、局員さんが内容を確認してくれます。不備があれば修正が必要になります。その際に修正印としてハンコが必要になります。

内容文章に問題がなければ、相手に送る1通を封筒に入れ、このタイミングでのりづけをして送付します。その後、控えをもらい、あなたが保管する1通と合わせて大切に保管しておきます。送付後に「相手にきちんと届けました」という連絡書が届きますので、これもきちんと保管しておきます。

手続きが簡単な「電子内容証明」

以上が「内容証明郵便」の概要です。「少し手間だな…」と思われたかもしれません。

実は2016年4月3日からインターネットを使った新しい電子内容証明サービス(https://e-naiyo.post.japanpost.jp/)がスタートしています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

新サービス「電子内容証明」はメリット多し

まとめ

「内容証明郵便」を使うことで大家さんや不動産屋さんに主張を伝えることができます。
さらに、訴訟(裁判)も辞さないという強い気持ちも表示できるのです。

「内容証明郵便」を送付後、振り込みを指定した日までに返金があれば、めでたしめでたし、です。
敷金の本来の意味を理解している賢明な大家さんや不動産屋さんであれば、きっと返還に応じてくれるはずです。

しかし…。
指定した日までに入金がなく、何の連絡もない場合は相手に支払う意思がないということになります。
こうなった場合は最終手段へと進みます。

こちらの記事をご参照ください。

敷金返還の最終手段である「少額訴訟」とは? その方法と手順

敷金トラブルの時効は10年

過去10年間で敷金トラブルはありませんでしたか?
敷金や保証金の返還請求権の消滅時効は10年です。
時効を迎えていないなら、今からでも間に合うかもしれません。

本稿を参考に、改めて問い合わせてみてはいかがでしょうか?

敷金返還の最終手段である「少額訴訟」とは? その方法と手順

敷金返還の最終手段は少額訴訟

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!新サービス「電子内容証明」はメリット多しでご紹介した「内容証明郵便」の送付後、指定した期日までに口座への入金がなく、大家さんや不動産屋さんから何の連絡もない場合、相手に敷金の返還をする意思がないということになります。また、返還された額に納得できない場合などは、次なる一手を打たざるを得ません。

それが「少額訴訟」です。

少額訴訟とは?

少額訴訟は、簡易裁判所における民事手続きのひとつです。

これは海外においては一般的な簡易訴訟制度(Small claims court)を参考に、1998(平成10)年に設けられた制度です。当初は30万円以下の訴訟に限っていましたが、想像以上に利用が多かったことから、2003(平成15)年の民事訴訟法改正で取り扱い額が60万円以下まで広げられました。

敷金トラブルだけでなく、

  • アルバイト・パートの賃金不払い
  • 個人間の金銭の貸し借り

などでも利用されています。

「時間や費用の面を考えるとわざわざ裁判を起こすほどではない」といった理由で、これまでは泣き寝入りをしなければいけなかった多くの事案の解決に役立てられています。

少額訴訟の基本原則

少額訴訟の基本原則は以下のようになります。

  1. 1日の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする、特別な訴訟手続です。
  2. 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、利用することができます。
  3. 原告の言い分が認められる場合でも、分割払い、支払い猶予、遅延損害金免除の判決がされることがあります。
  4. 訴訟の途中で話し合いにより解決することもできます。これを「和解」といいます。
  5. 判決書または和解の内容が記載された若い調書に基づき、強制執行を申し立てることができます。
  6. 少額訴訟判決に対する不服申し立て、異議の申し立てに限ります。控訴はできません。
  7. 被告側の希望により通常の訴訟手続きに移ることがあります。

訴えを起こす裁判所(管轄裁判所)はどこ?

「少額訴訟」を起こす裁判所は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所です。

しかし、「少額訴訟」を決断するタイミングというのは、「内容証明郵便」の送付後の対応ですから、すでに部屋を引き払い、遠くに引っ越しているケースも多いのではないでしょうか。

事件の種類によっては、ほかの簡易裁判所にも訴えを起こすことができるので、まずは今お住いの簡易裁判所に問い合わせてみてください。

「少額訴訟」に必要な書類

「少額訴訟」を起こすために必要な書類は以下になります。

  • 訴状
  • 登記事項証明書
  • 訴状副本
  • 証拠資料

これらの書類は弁護士に依頼しなくても自身で作成が可能です。
それぞれについて説明します。

訴状

訴状は定型用紙が各簡易裁判所に用意されています。各地の裁判所のサイト内には各庁独自の書式がある場合もありますので確認してみてください。

裁判所ウェブサイト(http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_minzisosyou/syosiki_02_04/index.html)から書式をダウンロードすることも可能です。記載例もありますので、こちらを参考にして書面を完成させてください。

登記事項証明書

訴訟の相手が法人の場合は登記事項証明書が必要です。登記事項証明書は法務局で取得できます。入手には500円ほどかかります。

訴状副本

副本とは、いわゆるコピーのことです。「少額訴訟」の相手の数だけ訴状の副本(コピー)が必要です。

証拠資料

以下のような項目が「少額訴訟」の証拠となります。
つまり、「少額訴訟」を念頭に置いているならば、こうした証拠候補をきちんと残しておくことが重要となります。

  • 大家さんや不動産屋さんと結んだ【契約書】
  • 大家さんや不動産屋さんからの【請求書】
  • 大家さんや不動産屋さんから出された【見積書】
  • 大家さんや不動産屋さんから出された【領収書】
  • 大家さんや不動産屋さんからの【メール文のコピー】
  • 大家さんや不動産屋さんとの【電話の録音】

「少額訴訟」にかかる費用は?

訴訟(裁判)には高額のお金がかかるというイメージがありますが、「少額訴訟」は5000~1万円で起こすことができます。
必要な項目は以下になります。

  • 印紙代
  • 郵券(郵便切手)代

印紙代

訴訟(裁判)の費用は印紙で払うことになります。印紙は郵便局などで購入できます。

「少額訴訟」に必要な印紙の金額は請求額によって変わります。

  • 10万円まで…1000円
  • 20万円  …2000円
  • 30万円  …3000円
  • 40万円  …4000円
  • 50万円  …5000円
  • 60万円  …6000円

郵券(郵便切手)代

印紙代に加えて、郵券(郵便切手)代が必要です。

金額はそれぞれの簡易裁判所によって異なりますが、ほぼ4000円前後です。

強制執行に必要な費用

「少額訴訟」で勝訴判決を得たとしても、不動産屋さんや大家さんが敷金の返還を行わなかった場合、その金額を強制執行(差し押さえ)という形で回収しなければなりません。そのための費用として、以下が必要となります。

印紙代

債務者(大家さんや不動産屋さん)に対して強制執行を実施するために必要な印紙代として4,000円かかります。

郵券(郵便切手)代

簡易裁判所によって若干の差がありますが、おおむね3,000~4,000円が必要です。

まとめ

訴訟(裁判)というと、多額の費用が必要というイメージがあるかもしれませんが、「少額訴訟」に必要な金額は合計で2万円前後です。

これを高いと感じるか、安いと思うかは請求額などによっても変わってくるでしょう。

もちろん、手続きなどを弁護士に依頼せず自分でやらなければいけなかったり、訴訟を担当する簡易裁判所は基本的に相手方の住所地を管轄する簡易裁判所となるため、その簡易裁判所に出向かなければなりません。

しかし、敷金の返還を行わない不正な大家や不動産業者に対して、あなたが毅然とした態度で立ち上がることで、これからその毒牙にかかるかもしれない多くの人を救うことになるのです。

敷金トラブルをきちんと解決させる最終手段として、「少額訴訟」を視野に入れておいても損はありません。

敷金は全額返還が基本!引越しでダマされないための基礎知識

「家賃」を構成する6つの要素とは?

引越しの際に最も多いトラブルが、敷金の返還(返却)に関するトラブルです。
その最大の原因は、大家さんや不動産業者、そして、賃借人(借主=入居者=あなた)が「原状回復義務」に対して誤解や勘違いをしていることです。

そして--これは非常に残念なことですが--大家さんや不動産屋さんの中には、誤解や勘違いをしたフリをしている人も多いのです。そういう輩は、こちら側の無知につけこみ、アレやコレやと難癖をつけて、敷金の返還に応じません。

しかし、そんな相手にひるむ必要は一切ありません!

「原状回復」は借りた時と同じ状態に戻すことではありません!
そして、敷金は支払ったのではなく預けたお金であり、全額返ってくるのが普通なのです!

当サイトでは、敷金トラブルに関する情報を詳しくご紹介しています。トラブルを回避したり、解決するために必要な理論武装のお役に立てれば幸いです。

敷金返還トラブルの原因「原状回復」の誤解とは?

筆者も若かりし頃に数度の引越しを経験しました。

思い返してみると、当時は「長く住んだのだから敷金が返ってこなくても仕方ない」という感覚でした。

敷金を預けたのは、入居の契約を交わした数年前だったため、それなりの金額とはいえ、執着心は薄れていました。

しかし、これは大きな間違いでした…。

むしろ、長く住んだからこそ、敷金はしっかりと返還されるべきなのです。

国土交通省が発表しているガイドラインでは、「原状回復」を以下のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

非常に分かりにくい文章ですので簡単にいうと…『賃借人(借主=入居者)が、何か大変なことをやらかしたせいで、とんでもなく建物の価値を下げたなら、その部分は復旧してください』ということです。

つまり、普通に生活をしていたのであれば、敷金は全額返還されるということです。

壁の画びょう跡や鍵の取替えも大家さんが負担

国土交通省のガイドラインには、具体的な例が記載されています。

  • 畳の表返し、表替え
  • フローリングのワックスがけ
  • 壁に貼ったポスターや絵画、ポスターの跡
  • 家具の設置による床・カーペットのへこみや設置跡
  • 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)

これらはすべて賃貸人(大家さん)が負担すべき項目となっています。

「ハウスクリーニング代」も支払う必要なし!

そして、これには驚く人も多いと思いますが、

  • 専門業者による全体のハウスクリーニング

も賃貸人(大家さん)が負担する項目なのです!

退去する旨を伝えた際に「次の人のために部屋を綺麗にします。敷金はその費用に充てます」と言われたことはありませんか?

これは大きな間違いであり、もしかすると、ハウスクリーニング料金を支払う必要がないことを知っているか試しているのかもしれません。

また、部屋を借りる時に結んだ契約書の中に「ハウスクリーニングの費用は借主(=入居者)が負担する」という内容の「特約」が記載されている場合もあります。

しかし、多くの裁判で「特約」が記載されていたとしても、借主(=入居者)がハウスクリーニング費を支払う必要はないとの判決が出されています。

自信を持って返還を求めていきましょう。

敷金トラブルは入居時から始まっている!

当然ながら、敷金トラブルが発生するのはこれまでの部屋を退去する時です。

しかし、敷金トラブルに巻き込まれないためには、入居した時点で退去のことを考えておくことが重要なのです!

退去時に「このキズは入居時からありました」と写真とともに提示できれば、大家さんや不動産屋さんはグゥの音も出ません。

前述のガイドラインにも以下のように書かれています。

トラブルを未然に防止するために

原状回復の問題は、賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちですが、これを「入口」すなわち入居時の問題と捉え、入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくことや、契約締結時において、原状回復などの契約条件を当事者双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結するなどの対策を的確にとることが、トラブルを未然に防止するためには有効であると考えられます。

新しい部屋へ引越しをしたなら、まずは新居をくなまくチェックして、バシバシと写真を撮っておくことを強くオススメします!

それでも返還されないなら「内容証明郵便」を送る!

返還された敷金の金額に疑問を感じた場合、それを不動産屋さんや大家さんにきちんと伝える方法として内容証明郵便の送付という手段があります。

内容証明郵便とは、

  1. 手紙を出したこと
  2. 手紙を出した日づけ
  3. 手紙の内容
  4. 相手に届いたこと

を日本郵便が法的に証明してくれる手紙です。

仮に訴訟となった場合、普通郵便では証拠になりません。

つまり、「内容証明郵便」を送付することは、「裁判も辞さない覚悟で主張しています」というメッセージを、大家さんや不動産屋さんに伝えることにもなるのです。

「内容証明郵便」には、『用紙1枚につき20文字以内×26行以内』といった少し面倒くさいルールがありますが、素人でも作成することができます。

「内容証明郵便」の送付には、1,250円の費用が必要です。あとは、不当に請求された金額と比べて、アナタがどう判断を下すか、です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「内容証明郵便」で訴訟も辞さないとの決意を示そう!

最後の手段は「少額訴訟」

内容証明郵便を送付することで異議を申し立てても大家さんや不動産屋さんが応じてくれない場合、最後の手段として「少額訴訟」があります。

少額訴訟は、簡易裁判所における民事手続きのひとつで、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用することができる非常に便利な制度です。

もちろん、訴訟ですから、その手続きは簡単ではありません。

しかし、裁判は原則として1日で終わります。訴訟の途中で話し合いによる解決(和解)へと移行する場合もあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

敷金返還の最終手段である「少額訴訟」とは? その方法と手順

まとめ

「内容証明郵便」「少額訴訟」といった耳慣れない単語が出てきましたが、これらは不当な請求に対抗するために大いに役に立つ制度です。

改めてお伝えしますが、敷金は全額返還されるのが普通です!

もしかすると、今住んでいる部屋を退去する際に、敷金トラブルに巻き込まれるかもしれません。

当サイトの記事内容を、大家さんや不動産屋さんと協議する際の大前提として利用していただければ幸いです。